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手しごと島めぐり

想いをつなぐ正月飾り
「流草ゆいまーる」

石垣島・本原畳店

石垣島登野城にある畳屋さん「本原畳店」は、「世のため人のため、喜びをともに」を企業理念とし1946年に創業、 八重山諸島全域の畳工事を請け負ってきました。 2011年に三代目の本原正将(もとはら まさのぶ)さんに事業継承した後は、ビーグ(い草)とミンサー柄畳縁にこだわった畳を、地域に寄り添いながら丁寧に作り続けています。

石垣島登野城にある本原畳店は、大通りから一本脇道に入った静かな住宅街にあります。
三代目、本原正将さんと本原史香さん

「琉球畳」の復活を目指して

本原畳店ではカヤツリグサの栽培も行っており、カヤツリグサを使用した「琉球畳」の復活を目指し活動しています。

畑で収穫したばかりのカヤツリグサ

琉球畳とは、元々はカヤツリグサで織り上げた畳のことを指しています。茎は三角形で、これを裂いて乾かし、畳表としていたそうです。その質が丈夫なので、台所用・道場用などに用いられていました。東京オリンピックまでは柔道畳としても使われており、耐久性に優れていることを証明しています。

カヤツリグサを裂いたもの

カヤツリグサの歴史は、沖縄大百科事典に「日本は琉球から薩摩七島(トカラ列島)を経て移入」とあり、昭和40年頃まで沖縄本島でも栽培されていたようです。しかし、現在は大分県国東半島でしか栽培されていない、貴重な畳表となっています。

「八重山では三角藺をサーラといい、莚や畳表、草履にした」と記録が残っています。今でも、八 重山の一部の地域で、行事の際に莚として使われているそうです。

カヤツリグサの畳は、ビーグと違った素朴な風合いが魅力です。本原畳店では、カヤツリグサを石垣島で栽培し、元祖、「琉球畳」を復活させたいと考えています。また、カヤツリグサを畳表にするまでの作業は、就労継続支援施設の利用者の方々の協力を得ながら、共同で作業を進めています。

最初の一歩

元祖、「琉球畳」を復活させる活動の第一歩として、本原正将さんのパートナーで元看護師の本原史香(もとはら ふみかさん)さんが2021年に就労継続支援施設に出向き、カヤツリグサを使った正月飾りの制作を提案、依頼しました。

カヤツリグサは、9月に畑から収穫され、就労継続支援施設へと託されます。昨年は6ヶ所、今年は現時点で3ヶ所の就労継続支援施設と共同で、カヤツリグサと本原畳店オリジナルの畳縁を使った正月飾り「流草ゆいまーる」を制作しています。

「耐久性があり、カビにくいカヤツリグサは、畳表にはぴったりの素材です。いつかこの素材で畳が作れるようにという思いで、まずは就労継続支援施設の利用者さんの力をお借りて正月飾りを作っています」(本原史香さん)

農福連携、助け合い

本原さんは、それぞれの就労継続支援施設が得意とする作業内容を委託依頼しています。就労継続支援施設「大丈夫」には、収穫後直後のカヤツリグサをピアノ線を使って細く裂き、乾燥させる作業を依頼しています。

「こちらの施設では、手先が器用な利用者の方々が集まっていることもあり、カヤツリグサと向き合い淡々と行うこの作業があっているのかなと思います」と施設支援者の方が話してくれました。

ピアノ線が張ってある道具を使いカヤツリグサを裂いていく

細かい装飾作業を得意とする就労継続支援施設「ラビット」では、利用者の方々にカヤツリグサを使った縄作りや、飾りになる畳縁を使ったリボン作りなどを依頼しています。

「各利用者の方々には一通り全ての作業を体験してもらい、それぞれが得意とする作業を選んで制作してもらっています」とラビット代表理事の冨名腰さんが言う通り、利用者の方々はそれぞれのテープルで素材と向き合い、一つ一つしっかりとパーツ作りをこなしていました。

今後の目標

「農福連携という考えをベースに、お互い助け合いながらものづくりができたらいいなと思っています。『正月飾り』の次は、カヤツリグサを裂かずにそのままの素材を手機作業で形にする『カヤツリグサのラグ』を就労継続支援施設の利用者さんと一緒に作っていきたいと考えています。ゆくゆくはカヤツリグサを使ったものづくりを地域の産業として、石垣島に根付かせることを目標にしています」 と話す本原史香さん。

ワークショップ

今年2022年12月には沖縄県南風原町の実店舗「ゆいまーる沖縄 本店 Storage & Lab.」でも、本原史香さんが講師を務めるカヤツリグサや本原畳店オリジナルの畳縁を使った正月飾りのワークショップが開催されます。

ふわりとやさしい南風を運んでくれる正月飾り、この機会にぜひ、貴重なカヤツリグサや、本原畳店オリジナルの畳縁を使った自分だけの正月飾りを作ってみてはいかがでしょう。

暮らしの中にやさしさをつなぐ「琉草ゆいまーる」

文、写真 水野 暁子

【プロフィール】

写真家。13歳で家族と渡米。School of Visual Arts (New York)を卒業。1999年に祖父の故郷である沖縄を旅し、そこに暮らす人々と亜熱帯の自然に魅せられ、竹富島に移住。
子育てをしながら雑誌やWebなどで撮影や随筆活動に従事。南山舎刊行の月刊誌「やいま 」にて島の人々を撮影したポートレートシリーズ「南のひと」連載。暮らしの中から見つめる被写体に共感と敬意を込めながら撮影しています。
http://a-mphoto.com/index.html

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