琉球ガラス
― 沖縄の風景を映すガラス―
1000度を超える炎の中で真っ赤に溶けたガラスに、職人が息を吹き込み、わずかな手の角度や呼吸のリズムによって形を変え、沖縄の光を閉じ込めた器へと生まれ変わります。
琉球ガラスは、沖縄の工芸の中では比較的歴史が浅く、製造が本格化したのは約100年前。戦前から戦後にかけては、ランプの火屋(ほや)や駄菓子ビンなど、生活を支える“実用品”として作られてきました。
やがて戦後の沖縄で、ガラス瓶を再利用しながら器を作りはじめた職人たちが現れます。
物資の乏しい時代に生まれたこの原材料は、琉球ガラスのひとつの特徴となりました。
その後、沖縄を訪れた米兵が帰国の際の土産品として買い求めるようになり、県外・海外へと広がりを見せていきます。
そして、1972年の日本復帰後からも数々の職人達が技術を磨き、鮮やかな色彩と独自の質感をもつ琉球ガラスが開花しました。
沖縄の海や空、太陽の光を思わせる色彩は、今や沖縄を象徴する美のひとつです。現在では、結婚式の引き出物、内祝いなどのギフトとして選ばれるほか、旅の体験としての“ガラス作り”も人気を集めています。
一方で、沖縄ブームの影響から一部では海外製のガラスが「琉球ガラス」として販売されたが問題になりました。
しかし、沖縄県内の志ある工房では、「この土地の光、この技術、この身体性でしか生み出せない琉球ガラス」を追求し続けています。