ノモ陶器製作所
― おおらかさを形にする、野本さんのうつわ ―
沖縄の風土を映す「オーグスヤー」の深み
野本さんが工芸の道に惹かれたのは、幼い頃に母と訪れた陶器市がきっかけでした。栃木の益子や茨城の笠間で目にした器の佇まいが、静かに心に残っていたといいます。
20歳で沖縄へと渡り、読谷村の工房で修行を積んだ後、2010年に読谷村で「ノモ陶器製作所」を立ち上げました。代表作のひとつである、沖縄伝統の緑釉「オーグスヤー」を用いた器は、時に琉球青磁とも呼ばれる深い色彩を放ちます。透明感と力強さが同居するその色は、沖縄の豊かな自然と歴史を物語るような、静かな存在感を湛えています。
日常の美を見つけ、暮らしに寄り添う「余白」
野本さんのものづくりの根底には、「日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる」という民藝の考えがあります。
ぽってりとした量感のある形は、手にした瞬間に伝わる安心感を大切にしたもの。健康的でおおらかな雰囲気をまといながらも、そこには使う人が自分の暮らしに合わせて自由に取り入れられる“余白”がそっと残されています。
器そのものが主張するのではなく、毎日の食卓に静かに馴染んでいくこと。忙しい日常の中で、温かな器に触れて一息つく。そんな何気ない自分を整える時間を、野本さんの器は優しく支えてくれます。