琉球ガラス工房 清天
読谷村といえばやちむんの里が有名ですが、そのほど近い場所に素敵な琉球ガラスの生まれる工房があることをご存知でしょうか?
地元出身の松田清春さんが主宰する「ガラス工房 清天」です。
通りからオープンになった工場で、松田さんを筆頭に、職人・見習いを合わせて
5人の男たちが、日々ガラス作りに励んでいます。
真剣な作業の合間に、大声で冗談と笑い声も飛び交い
何というか、とても男らしい、活気のある現場です。
清天で作られるガラスの特徴は、廃ビンなどを利用した
いわゆる「再生ガラス」にこだわっていること。
ガラス作りのために調合・製造されるいわゆる「原料ガラス」のほうが、繊細な表現に適してはいるのですが
そこを清天では、一部ではなく全てが、再生ガラスを使い、こだわって製作を続けています。
そうして生み出されたガラスは、ぽってりとして、あたたかみのある質感。
どこかレトロで懐かしい感じもする、素朴な味わいがあります。
「作りたいのは、生活の中で毎日のように使われるガラス。
そういう意味で、『作品ではなく商品』という気持ちで作ってますよ」と松田さん。
物心ついた頃から家には、手作りの琉球ガラスがあったという松田さん。
祖母がガラス作り職人、父は販売スタッフとして勤めていたそうで、当然のようにガラス作りの仕事についたのですが
ちょっとすごいのはそのタイミング。
なんと、中学校を卒業したその次の日からガラス工場で働き始めたそうです。
「少しでも早く始めたかったから、ずっとお願いしていたんだよ」と、懐かしそうに笑顔で松田さんは語ってくれます。
その後はこの道一筋なのかと思いきや意外なことに松田さん、好奇心から異業種への転職を何度も経験したといいます。その数、実に20職種以上。
電気工事、防水工事、居酒屋、鉄工、アルミ鋳造、などなど。
最終的にガラス作りに帰ってきたわけなのですが
例えばアルミ鋳造の経験はガラスの型や窯の製造に活用したり、様々な経験が今の仕事に活きているそうです。
やがて独立し、自身の地元である読谷村に開いたのが、今の「清天」です。
現在は後進の育成も意欲的に行っていて
工場では1日のうち、10分×3回の計30分が練習の時間として当てられています。
その時間はスタッフは給与をもらいながら先輩のアドバイスを受けるなどして腕を磨いているわけです。
職人の卵が、間違った覚え方をしないように。
独立を目指す若者なら、早くそこまでたどり着けるように。
職人としての「親心」を、そこには感じます。
工房として、長く現役でガラス作りを続けることができれば、という松田さん。
「モノの良し悪しというのは、お客さんが決める。いいモノを作ればお客さんが選んでくれるでしょ。選ばれるモノを作って長く続けていければいいね」