点打ち ノモ陶器製作所

幼い頃から工芸好きなお母さまに連れられて、益子焼や笠間焼の陶器市に足を運んでいたという野本周さん。
20歳から沖縄の焼き物工房で修行を重ね、2010年に読谷村で「ノモ陶器製作所」を立ち上げました。
野本さんの器には、民藝(民衆的工芸品)の思想が息づいています。ぽってりとしたフォルムや程よい重量感のある器は、健やかでおおらかな雰囲気をまとい、手に取る人それぞれが自分らしい暮らしに取り入れられる「余白」を感じさせます。

「点打ち(てんうち)」という技法は、釉薬に点を打って模様を描く伝統的な手法で、均一ではなく自由に打たれたドット柄が魅力です。
飴やコバルトといった沖縄でも親しまれる釉薬を用い、一定のリズムで描かれる一方で、野本さんならではの勢いと躍動感が加わります。

さらに焼成時の窯の中での化学変化や重力によって、釉薬が流れたり思いがけない表情が生まれ、唯一無二の作品へと仕上がります。
一点一点異なる表情をもつ「点打ち」の器。そのおおらかさと自由さが、日常の食卓に豊かな彩りを添えてくれます。