琉球ガラス
― 炎から生まれるきらめき、ゆらぎ、ぬくもり ―
「炎の芸術」とも呼ばれる琉球ガラス。
1000度を超える熱で真っ赤に溶けたガラスが鉄のパイプから息を吹き込まれることで様々な色と形へと姿を変え美しい器が生まれます。沖縄の工芸としては比較的歴史は浅く、100年ほど前に製造が始まったとされています。戦前から戦後しばらくの間はランプの火屋(ほや)や駄菓子を入れるビンなど実用品が中心に作られていました。
プラスチックやビニールが普及した戦後は実用品としての役割は薄れましたが、沖縄に滞在した米兵が本国へ戻る際の土産品として次第に人気を博すようになり、県外・国外への販売が増えていきました。その後、「現代の名工」である稲嶺盛吉氏や池宮城善郎氏らに牽引されて巧みな技術、鮮やかな色彩を特徴とするガラス作りが花開き、琉球ガラスは沖縄の工芸品としての地位を確立します。現在では、結婚式の引き出物や内祝いなど各種ギフトとしても多く選ばれるほか、ガラス作り体験も人気の観光プログラムになっています。
「沖縄ブーム」以降、人件費の安い海外で製造したものを「琉球ガラス」と称して販売したことが問題となりましたが、 沖縄県内の志を持った各工房では、「この場所でしか作れない」「自分たちの技術をもってしか生み出せない」琉球ガラスの名にふさわしいガラスを生み出すべく、日々、技術を磨き続けています。