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だるまシーサー

壺屋焼の伝統を受け継ぎながら、日々の暮らしに寄り添う器をつくり続ける高江洲陶器所。
線彫りや掻き落としなどの伝統的な技法を使い、魚文・唐草・格子などをモチーフにした器は、素朴であたたかみのある風合いが魅力です。
徳利や抱瓶、湯呑、マグカップなど、どの作品にも手仕事ならではの優しさと深みが感じられます。

中でも人気なのが、思わず笑顔になる「だるまシーサー」。

壺屋焼の地で永く焼き物づくりを続けてきた高江洲陶器所が生み出す、“福を呼ぶ”シーサーです。
丸みのあるフォルムに施された唐草模様、そして愛嬌たっぷりの表情。後ろ姿はまるでロンパースをはいた赤ちゃんのようで、見ているだけで心が和みます。

玄関やリビング、デスクまわりに飾れば、空間にやさしいぬくもりと幸福感を添えてくれる、暮らしに寄り添うかわいらしいシーサーです。


「ゆるカワ」の歴史にみる、だるまシーサーの素朴美

注目したいのは、美術史家の矢島新氏が提唱する「ゆるカワ」という概念です。
ここでは、矢島氏の書籍『ゆるカワ日本美術史』の視点から、だるまシーサーの奥深い魅力を紐解いていきます。

矢島氏によれば、日本美術には、大陸や西洋から押し寄せる「完璧なリアリズム」や「峻厳な権威」といった巨大な波を、自分たちの身の丈に合った「親しみやすい形」へと和らげ、変換してきたプロセスがあるといいます。

もちろん、日本と沖縄では歴史が異なるので、そのすべてをあてはめることはできません。しかし、「外来文化の受容と、身の丈に合う形への変換」という点においては、共通する部分があるのではないでしょうか。

日本では、江戸時代に美術が庶民の間にプライベート化していく中で、対象を自分たちと同じ地平に引き寄せて愛でる「キャラクター化」が進んだそうです。

一方、沖縄のシーサーは元来、中国由来の威圧的な魔除けである「石獅子」を起源としています。琉球の時代に入ってきた獅子は権力の象徴でもあり、王府の建造物などに存在していました。

その後、村獅子や屋根獅子などとして民間へ普及していく中で、魔除けとしての機能と「かわいらしさ」が融合した獅子も登場していくことになります(ただし、当時は意図したのではなく、結果としてかわいらしくなったのだと思います)。

だるまシーサーは、まさに威圧的な外来文化の象徴であった獅子が、沖縄の穏やかな風土と人々の営みの中で、身の丈に合う「心地よい存在」へと進化した姿ともいえるでしょう。

完璧な工業製品が溢れる現代において、私たちがこのだるまシーサーに心惹かれるのは、そこに計算し尽くせない「不完全で素朴な人間味」や「生命の愛らしさ」が息づいているからなのかもしれませんね。

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