シーサー陶房大海
自然と職人が共創する、唯一無二の守り神。
大海さんの「登り窯シーサー」ができるまで
沖縄島の北部にある大宜味村の山奥に3つの工房さんで運営する共同の登り窯があります。
その工房のひとつが、シーサー陶房大海さんです。
とある登り窯の窯焚き(かまたき)の日に密着させていただきました。
明け方から作り手さん動きを見ようと思い、前日に窯の近くまで行ってそのまま車で野宿。
朝5:30、太陽が昇ったのを見計らって窯に向かいました。
火を入れと祈り
時刻は午前9:00。
いよいよ窯に火が入ります。各工房の親方達がお猪口に入った泡盛を一口ずつ飲んだあと、窯に泡盛、そして祈りを捧げます。
火が入ると、各工房さんが当番制で火力を確認しながら、10分前後の感覚で薪を入れていき、ゆっくりと窯の中を乾燥させながら温度を上げていきます。
やがて夜になり、静寂と暗闇に包まれたやんばるの山の中に窯の炎の光と、パチパチと薪が焼けていく音が響き渡ります。
窯に火が入っている間は、昼夜問わず5時間交代で職人さん達が火の番をします。
やんばるの静寂と薪の音
深夜0:00。
次の担当になる職人さんがやってきて、窯の状況をお互い確認します。会話は少なめ、常に意識は窯に集中させています。
窯との対話、そして格闘
そして、火入れから約12時間後、乾燥したタイミングを見計らって、焚口に大きな薪を投入し、一気に窯の温度を上げていきます。
大きな薪を投入すると、窯から一気に黒い煙が上がります。
これまで窯とじっくり対話をしていた状況から一変し、窯との格闘が始まります。
焚口に薪を投入すると、窯の中の温度が一気に上がり、還元状態になります。
その後空気が入る事で酸化状態になり、温度が少し下がったらまた薪を投入。これを繰り返す事で、窯の温度を徐々に上げていきます。
物事が成長していくのと同じように、細かな上下を繰り返しながら徐々に窯が生成発展していくようです。
この薪を入れる作業を数分おきに行います。
ガスや電気窯であれば、温度を設定しておけば良く、人間の意図する事に、機械を調整すれば良いのですが、登り窯ではそうはいきません。あくまで自然のペースに人間が合わせながらの作業になります。
時刻は午前5:00すぎ、夜が明けて空も段々明るくなってきました。
5時間交代で番をしながら、窯焚きは休む事なく続けられています。
これまでは、一番下の焚口に薪を入れていましたが、ここからは焼物が入っているそれぞれの袋(部屋)に薪を入れていきます。それぞれの袋には小さな窓があって、そこから小さな薪を投げ入れていきます。
ここからいくつかの焼成の工程を経て、ようやく焼き上がります。
自然に寄り添うものづくり
今回、窯たきの様子を見て感じたのが、登り窯のモノづくりは、より自然に寄り添うスタンスだという事です。
登り窯で焼くというのは、人の力ではコントロールできない領域が増えます。
しかし、このより自然に近い領域で生まれたモノ、自然と人がぎりぎりの領域で共創したモノだからこその美しさがあります。
魅力的なモノを作りたいという職人さんの思いは、「真・善・美」の追求と、より自然に回帰しようとするという人間の本能からきているのではと感じました。
あくなき追求から生まれた大海さんのシーサー。
色味、カタチなど、どれ一つとして同じものは無い一点物となります。